俺様外科医との甘い攻防戦
「だから、昔からあいつの女関係の面倒な色々の被害は、十分に被っているな」
「被害、ですか?」
「ああ。律紀に酷い付き合い方をされたっていう子の友達に『久城くん、なんとかしてよ』って、訴えられたり」
面倒くさそうに、でもどこか懐かしそう語る久城先生を尻目に、心臓はドッドッドッと変な音を立てる。
「もしも私が、昨日久城先生が仰られたみたいに、東雲先生じゃなく、久城先生に最初から憧れていたら……」
「ああ、大歓迎だな」
顔を綻ばせる久城先生を、上手く見られない。
「ちゃんと、よく考えてください。最初からですよ? 東雲先生に憧れて、久城先生に心配をかけることもない」
言いたかった部分が伝わったのか、久城先生はしばらく黙り込んだ。
「『もしも』の話をしても不毛だ」
最終的には、そう言ってくれるかもしれない。「今、好きなのは陽葵だろ」と。
そう言ってもらえるだけ幸せだと、思わないといけないのはわかっているのに。