俺様外科医との甘い攻防戦
頭を撫でられ、肩を揺らす。
「陽葵」
低く体に響く声は、名前を呼ばれるだけで涙が出そうになる。
「それで、不安になった? 律紀に騙されそうな可哀想な子として俺と出会わなければ、俺が陽葵に好意を抱かないんじゃないかと」
全て見透かされ、黙り込む。
「そんなことで不安になるくらい、俺の気持ち届いてないのか」
頭にキスを落とされ、胸にはこれ以上埋められないのに、顔を押し付ける。
「顔を上げて。陽葵」
促され、おずおずと顔を上げる。
「だって、久城先生。私のこと、大して好きじゃなかったですよね?」
「ハハ。痛いとこ突くね」
困ったような顔を見て、言葉が止まらなくなる。
「親愛は、確かに感じていました。けれど男女の好意としての愛情は……」
「それはそうでしょう」
前置きを聞いただけで、胸が張り裂けそうになる。『大して好きじゃなかったんだから』と続く言葉を、本人の口から聞きたくない。
ギュッと目をつぶると、まぶたに優しいキスが降る。
それから、久城先生は話し出した。