俺様外科医との甘い攻防戦
久城先生との同居生活は、あまり顔を合わせないものだった。
これは同棲ではないと言い切れる。
同居どころか、間借りしていると言う方が合っている気がする。
忙しいからというのは理解しているが、きちんと眠れているのか心配になる。
それなのに私に遠慮して、寝室には顔を出さないのだ。
久城先生と同じベッドで寝るの? と、ドギマギしながら待っていた時間を返してほしいくらい。
朝起きてリビングにあの大きな体が横たわっているのを初めて見たときは、心臓が止まるかと思った。
今日は久城先生の予定をデータ上でチェックし、早めに帰れそうだと踏んで、帰宅してくるのを待ち構える。
わざと早めに寝室に行き、耳をそばだて様子を伺う。
久城先生は私よりも遅く帰ってきて、シャワーを浴び、ソファでくつろいでいる。
今日も、寝室では寝ないつもりなのだろう。