プールのあとはお腹が減る。
直感的に、それがプールにいたあいつらの仕業であると分かった。

私達のクラスは水の中に閉じ込められてしまったと思っていたけど、どうやら私達はまだいい方で、水の外にいた人達は逃げ場もなく、一瞬で殺されてしまったらしい。

各教室では、席に座ったまま死んでいる生徒が一番多かった。

見えないナニカの攻撃に、気づくことさえできなかったのだろう。

「そうだ。夏実は…」

絶望的な気分になりながらも、私は夏実を探す。

教室にはいなかった。図書館にも。

諦めかけたとき、図書館の近くのトイレの前に、檸檬柄のヘアピンが落ちているのを見つけた。

トイレの扉のガラスには、夏実によく似た髪型のシルエットが浮かぶ。

…よかった! 無事だったんだ!

「夏実…っ!」

安堵の中、私はトイレの扉を開いた。
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