プールのあとはお腹が減る。
砂浜は足跡だらけになっていた。至るところから、私という獲物を狙い、襲いかかる。

「うわぁっ!!」

私は全力で駆け出す。すると「環、環…」と私を呼ぶ声がした。

草むらの中からだ。

「千秋さんなの…っ?」

足跡から逃げ、声のする方へ走る。

「うわっ!!」

突然、地面が抜け、その下へと落ちていく。怖くて目を閉じると、水の中に着水した。

……ここは?

水面から顔を出すと、自分が井戸に落ちたのだと分かった。
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