遺書
「…はい」
「そうか…。クソッ、僕が昨日のうちに先生の異変に気付いていればこんな事には…」
「蛇島さんのせいじゃないよ。蛇島さんも昨日叔父さんに会ったんだよね?」
「うん。今日で連載していた小説が最終回だったから、単行本の話と次の連載の話をしてたんだ」
「え?あの話、終わったの?」
「ああ、そうか。由理ちゃんは事情聴取や通夜の準備で見てないのか。ほら、これ」

蛇島さんは鞄を開けて様々な本の中から叔父さんの小説が連載している雑誌を取り出し、あるページを開いて私に見せる。
そこには見出しに『衝撃の最終回‼︎』と書いている。私は小説を流し読みする。小説は確かに完結していたが、どんでん返しもなくアッサリとしている。

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