遺書
連れられた場所は応接室で、私は促されるままソファに座る。女性が退室すると入れ替わり白衣を着た男が入って来た。脇にはカルテを持ち、私の向かいのソファに座り、優しげな笑みを浮かべる。

「こんばんは、森谷さん。私が蓮見病院の院長の蓮見です。高瀬透さんの姪でしたね」
「…遺書の住所を頼りにこちらへ伺いました」
「そうか。自力でこられたんですね」

私の言葉を聞いて蓮見院長は少し嬉しそうな声をする。…この人は何か知っている。

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