復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?


連れて行かれた場所、それは、このラグジュアリーな街にそびえ建つ、無機質なオフィスビルだった。


「えっと…なぜ? オフィスビル…?」


新は無言のまま、改札機を通り、私をエスコートする。それからエレベーターの方へと手を引かれ、私は思った。


(…デジャヴ)


前も沈黙の中、手を引かれてエレベーターの方へと連れて行かれた気がする。
そして、この後に起こる事はきっと、あの時と同じように予想の範疇ではない事だろう。


「………誰かに私を紹介するとか…?」

「いや、違う。」

「行き先くらい教えてよ」


大きなオフィスビル。休日ってこともあってか、全く人はいなかった。

休日出勤ないのかな。
なんてホワイトな会社たち。


「セキュリティが万全なところ」

「……?」


頭の上にハテナマークを浮かばせることしかできない私を、新はやわらかい笑みを溢して見ていた。



< 41 / 45 >

この作品をシェア

pagetop