復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
連れて行かれた場所、それは、このラグジュアリーな街にそびえ建つ、無機質なオフィスビルだった。
「えっと…なぜ? オフィスビル…?」
新は無言のまま、改札機を通り、私をエスコートする。それからエレベーターの方へと手を引かれ、私は思った。
(…デジャヴ)
前も沈黙の中、手を引かれてエレベーターの方へと連れて行かれた気がする。
そして、この後に起こる事はきっと、あの時と同じように予想の範疇ではない事だろう。
「………誰かに私を紹介するとか…?」
「いや、違う。」
「行き先くらい教えてよ」
大きなオフィスビル。休日ってこともあってか、全く人はいなかった。
休日出勤ないのかな。
なんてホワイトな会社たち。
「セキュリティが万全なところ」
「……?」
頭の上にハテナマークを浮かばせることしかできない私を、新はやわらかい笑みを溢して見ていた。