復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?






「……俺は復讐を成功させるつもりは毛頭なかったし、なんなら捕まえて逃がさないって躍起になってた。お前は俺のものになるって決まってたと言っても過言じゃないな」

「何処から湧き出て来るの? その自信。」

「さぁ?」


でも、嬉しいな。
逃がさないって言われたことも、最初からずっと好きでいてくれたことも。

本当、私は単純で、新が言うようにバカだ。


「ずっと手に入れたかった。ずっと好きになって欲しかった。俺だけのものにしたかった。」

「……直球で恥ずかしい…」

「今の地位も身分も、なんでも捨てる覚悟でお前が欲しかったよ。」

「…っ…大袈裟だよ…」


熱い眼差しで新は私のことを直視する。逸らすことは許されないような空気。自然と磁力が発生したように唇を引き合わせ、キスをした。
静寂に包まれた部屋にリップ音がいやらしく響く。
緊張で高鳴る胸と、紅潮する頬。
慣れるまで、かなりの時間を要しそうだと思った。


唐突に、頭の中でパッと一つの質問が湧き上がる。


なんとなく訊いてみたくなったその質問を彼に投げかけよう。



「……復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?」



目を丸くして私のことを見る。そして、しばらく考えた後、彼は言った。



「………俺の一生。全部……でも足りないか…?」



そんなに私のこと好きなんだ。

ふーん。

へぇ。



………うぅ。




「ぅわー……もう…心臓おかしくなりそうだよ…」

「………俺の方が恥ずかしいっつーの…。」

「……うぅ…」





「純連。俺と結婚してください。」





「……はい。喜んで…。」







Fin.

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