第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「あの、殿下……」
恐る恐るイルヴィスの顔をのぞく。
彼は腕を組んで視線だけアリシアの方へ向けてきた。
「行きたいんだな?」
「……はい」
「そうか」
正直にうなずくと、イルヴィスは口元を緩めるようにして笑う。
「なら行ってみれば良い」
「……!良いんですか?」
「もちろん。ただし、私も同行するという条件で」
彼は、「構わないよな?」と笑顔でカイに確認すした。
笑顔ではあるが、目付きは、ダメだとは言わせない、とでもいうように鋭い。
「ああもちろん歓迎するさ。お前が来たらあいつも喜ぶからな。聞くところによるとお前は今、国王の仕事をほとんど肩代わりしているのだろう?」
「ふん、何のために国王がいると思っている。働きすぎだから仕事を回せと言えば、待っていたとばかりにほとんどを私に押し付け自分は王妃と旅行三昧。きっと久しぶりに公務に戻りたいと思っている頃だろう」
その声はどこか腹黒さを感じさせた。
普段から公務に追われ忙しい彼だ。きっとたまには息抜きがしたいんだろう。
アリシアはそう捉えて、「いいですね」と彼の同行に賛成する。