ふしだらな猫かぶりからの溺愛
見上げると顔を少し赤くしたお兄さんが苦々しく眉をしかめた。

「っ、叶わないね〜。はいはい、きみのことは忘れられないだろうしこの店では安心して楽しみなさいよ」

見た目はチャラくて少し怖いのに、案外優しいお兄さんに思わず笑う。

「ありがとうございますー!」

お兄さんは軽く掌をあげると、シッシッと追い払うようなジェスチャーをしながら、早く中に入るように促される。


「あれ〜、秦野くんが女の子に絡んでる〜珍し〜」

「モモタ!うるせえな、別に絡んでねえからなー」

「はじめまして、俺モモタ〜!うわぁ〜、……めっちゃ美少女じゃん……」

「は、はじめまして」


なんだかわからないけど、派手なゼブラ柄のダボっとしたTシャツにダメージジーンズのモモタと名乗るお兄さんに挨拶された。


「だよねー、変なのに絡まれないかつい心配しちゃってさー」

「こりゃうちのるーくんにも負けないくらいの美形だね〜」

「るーくん?」

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