君を輝かせるのは私だけ。
「自主練は?」

「それも莉緒に怒られたんだよ、朝出る時に、『週7でほぼ毎日夜まででしょ?バカなの?祐真さんにも膝壊したくないなら休憩も入れてって伝えて』ってな。」

冷めた目で淡々というあおが想像できて、

少し震える。

おっかない。

「だから、昼ごろまで休憩、行かない?」

「…行く。」

「よし、決まり。」

健さんはケータイで何人かに電話したあと、来た道を駅の方まで戻っていく。

その後ろをついていきながら、

ボーッと考え事をしてた。

引退直後、負けた後、全国の舞台に立てなかったその時にあおの言葉を聞くのは確かに整理がつかないと思う。

その気持ちもわかる。

でも、あおの悔しい気持ちを忘れないうちにってのと、育てるなら早ければ早い方がいいっていうのもわかる。

どちらも悪くない。

けど、言い方だよなぁ。

女の子だったり、若すぎたり、健さんの妹だったり、そこを引っ張ってきて断ったのはいただけない。

断ることも整理がつかないこともわかるし、悪いことでは絶対ないんだけど。

「はぁ。」

俺のため息に健さんが笑う。

「俺がキャプテンの代がいつまで続くかわからないし、次はお前になるかも知れないんだからせいぜい悩め悩め。」

意地悪に笑う健さんに、

「健さん、やっぱ尊敬してます。」

と返すと、

すごく驚いた顔をされる。

「何、生意気な祐真くんの素直なとこなんて怖い。」

…散々な言われ様だな。

まぁ否定もできない自分もいるのがなんとも言えないけど…
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