君を輝かせるのは私だけ。
…ドアの前で一息ついて、

コンコンと小さくノックすると、

「はーい」

と声が聞こえてドアが開く。

目の前の相手は少し驚いていて、

「祐真さん、木村さんもどうしました?」

と聞く。

あおの一人部屋ってことは荷物広げてるかもだし、

男入れたくないかもだし…

どこかに出る?

あおに話をしに行こうと夜部屋を出ようとしたら、

俺も!とついてきた渉まで連れてきちゃったけど…

黙ってる俺に不思議そうにあおが

「入ります?何か話ですか?」

と戸を開けて中に誘導してくれる。

「え、と、お邪魔していい?」

「どうぞ、あ、でも…」

俺と渉が連なって入ったら、

中には健さんとどこかで見たことある女性。

「すみません、二人いるんですけど…あれだったら別のとこでも…」

「大丈夫!」

二人はテレビの前のソファに座ってて、

俺らは立ったままで、

あおは広げてたノートを軽く整えてから、

「どうかしました?」

と話を聞く態勢に入ってくれる。


「いや、俺は明日から日中はあおいないから注意した方がいいとこの確認しに来たんだけど…」

チラッと俺が渉を見ると、

あおも視線を追って渉をみる。

「え、あ、…木村さんは?」

少し遠慮がちにあおが聞く。

「…渉って呼んでください、年下ですし!あの、俺蒼井さんの全てを吸収して、絶対一番輝いて見せます!これからよろしくお願いします!」

あおは目をまん丸にして、

その目は今にも溢れそうなほどキラキラした水を溜める。

「…私も頑張る、絶対あなたを輝かせるから。」

そう震える声で言った。

「俺、手渡しされたからここにきたわけじゃありません。あのノートを見たからここにきました。」

続けて言った渉のその言葉は、

あおの目に溜まったものを溢れ落とさせる。
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