君を輝かせるのは私だけ。
「渉の選出に戸惑いが生まれるのは理解できるけど、それ以外に理由はあるの?」

健さんは俺の言いたいことが分かったのか、

少し悲しそうな顔をする。

渉は確かに無名でそこに戸惑いが来るのもわかる。

でも、厳しい条件とか今までついてたのかな?

あおだから、じゃないよね?

その意味を含んだ俺の言葉に健さんがその顔をするということは…

「だれ、監督たち?じゃないよね?」

「…お前さっきから敬語ゼロだな。」

「いつもじゃん、健さんには。」

「いや使えよ、敬え。」

笑って誤魔化そうとする健さん。

「健さん!」

「…もっともっとお偉いさんだよ。大きな舞台でメダルを何年も取れてないのに、そんな小娘の言う通りにさせるのかってな。」

思った通りで、

俺の盛大な舌打ちが重い空気の体育館に響く。

「…俺、とりあえず蒼井さんに今の気持ちちゃんと話してきます!」

少しでもあおの気持ちを楽にしようと、

走り出そうとする渉の首を掴んで止める。

「あおは会議。…いい?渉。覚悟決めてね。」

俺の低い声に、

渉は一瞬怯えて、

すぐに強い瞳になって。

「…はい!」

力強く答える。

必ず、メダル取る。

必ず、あおの努力もすごさも認めさせる。

必ず、俺はあおの自慢の星になる。
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