【番外編】好きの海があふれそう
小太郎がいない間ずっと考えてたんだ。



いない間、子供を育てているのはとても幸せだった。



だから、守るべき存在を増やしてもいいんじゃないかなって。



「俺、なかなか帰ってこられないのに…いいのか? 杏香の負担が増えるのは嫌だ…」

「負担なんて言わないで? あたしならやれる」

「仕事は?」

「仕事も続ける。杏光のときと一緒」



小太郎は考え込んでしまった。



だけど次の日、夜眠るとき、小太郎があたしにやさしい顔で言った。



「俺との子供…もう一人、産んでくれるか?」



その言葉にうれしくなって、あたしは小太郎を抱きしめた。



「もちろんだよ…」

「できるだけ、帰れるようにする」

「無理しないで」

「杏香こそ…無理しないで、何かあったらすぐ言えよ?」

「うん、ありがと…」



幸せな夜。



あたしたち家族は幸せに満ちている。

* *

それから約2ヶ月後、あたしは妊娠が判明して。



その1ヶ月後、実咲ちゃんは女の子を産んだ。



玖麗ちゃんっていうらしい。



ちょっと派手だけど、綺麗で可愛い名前。



「麗」って良い字かも、なんて思った。



更に3ヶ月後には霜月家にも男の子が生まれた。



目がくりっとしていて、予想通り物凄くかわいらしい顔をした子。



名前は海琉くん。



その5ヶ月後、あたしも出産!



「麗」の字をとても気に入ったあたしは、悠麗と名付けた。



杏光のときと同じように出産に立ち会った小太郎は、号泣してた。



そしてあたし達三家族は、1年に1回必ず旅行するほど仲が良くなっていた。



もちろん、子供達も。



これから、みんなどんな風に成長していくのかな?



それを見届けるのが、あたしの幸せ。
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