✻秘密は甘くて危険な味✻
秘密3 最悪の再会
“補修工事に伴い終了するまでの期間、普通科の皆さんには特進科の寮へ行って頂きます”

管理人室横の壁に貼られたお知らせ用紙。
寮長の指示で学年別に並ぶ。
僕は隣に居る歩稀を見た。

「えっ、何その嬉しそうな表情」
「特進科と言えば金持ち。金持ちと言えば玉の輿。僕は将来の旦那さんをそこで見付けるよ。離れ離れになるけど春君、達者でな。無事を祈ってる」
「は、春君?ちょっ、キャラ変わり過ぎてて怖い!」

目をキラキラさせて早口で話す歩稀に、僕は呆れるしかなかった。
旦那さん探しとか、本気の本気だ。
彼氏作るなら金持ちのイケメンってずっと言ってたもんなぁ。
それに忘れてたけど僕、一応女の子だったな。
無事を祈ってるってそう言う意味だよね?
何て考えていたら、前の人から紙が回って来た。

そこには特進科の部屋番号と部屋の住人の名前、そして普通科の生徒達の名前が書かれていた。
特進科の寮部屋は、2人部屋を1人で使っていると言う凄く羨ましい話だ。

「早くて明日には移ってもらいたい。よって今日は、徹夜してでも荷造りするように。話は以上だ、解散!っと、瀬良と鈴原はこっちに来てくれ」

寮長の言葉に、皆ぞろぞろと各部屋に戻りだした。
呼ばれた僕達は人混みを掻き分け向かう。
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