双子の貞子ちゃん 2
「あらぁ、遅いじゃない。成くん!うちの跡取り!」
ん…?
「おっ!!どれどれ…、うわあ!イケメンだなあ!」
「でしょう?でも、生意気なのよ。勝手に家出ていったの。」
「男はそんなものだよ。なあ、健太郎」
「まあ、気持ちは分かるよな。」
お父様たちの会話が耳を通り抜けていく。
振り向いた顔を一瞬で戻してから、目の前の料理ばかりを見つめる。
幸い目は合っていないはずだ。
「お兄ちゃん遅!そこ座って食べなよ!」
「伊織ちゃんも初めて見るよね?うちの長男!」
「…はい。はじめまして。」
恐る恐る顔を上げ、スーツ姿の顔を見ることはできず、ネクタイを見て挨拶をした。