双子の貞子ちゃん 2
会話が落ち着き、湊は私の隣に座った。
かなり近い距離に驚き、こそこそとお父様の方に寄って行った。
「お兄ちゃんそれ美味しいよ!」
「これか?」
「いやー、安達家は安泰だなぁ!」
「何言ってる、成には伊織ちゃんがいるだろ。」
「私がもらってもいいのよ?」
そんな会話たちを左右から聞きながら、静かに正座して身を潜める。
「……食べないんですか?」
右からこそっと聞こえた声にゆっくり顔を向ければ、湊のドアップが映った。
「った、食べます。」
慌てて箸を手に持ち、適当に口に入れる。
もう味が分からない。
泣きそうな気分になりながら次々口に運んでいく。