双子の貞子ちゃん 2
「……現実か?これ。」
ドライヤーの轟音に紛れて、そんな声が聞こえた気がする。
気のせいだと思い、振り返らずに大人しく湊に髪を乾かしてもらった。
湊の指が髪に触れている感覚にドキドキしていると、ドライヤーが終わったようだ。
「あ、ありがとう。」
お礼を言わなきゃと振り返ったが、あまりの近さに固まってしまう。
時間が止まったかのように見つめ合い、湊が私の長い前髪をスッと横に流す。
「あー……、もう、無理。」
ギュッと優しく抱きしめられる。
急な行動にドキッとしたが、だんだんと落ち着くのが分かる。
無意識に湊の背中あたりの服を握っていた。
それに気づいたのか湊はさっきより強く、覆い被さるように抱きしめ直した。