双子の貞子ちゃん 2
何ヶ月ぶりの離れに浸る暇もなく、急いで準備に取り掛かった。
クローゼットを開け、黒のロンTと黒パンツを手に取る。
これだと不安だったから、大きめの黒のパーカーを被り、帽子を被ってフードも被った。
入り口でマスクを手に取り、走って表へと向かう。
「伊織お嬢様…、視線を感じます。」
「ごめんなさい。…でも、横山さんがヤンチャしてる姿、想像できなくて。」
ただ、昔もイケメンだったんだろうな。
くらいにしか想像できない。
「凪さんみたいな感じでしたか?」
「凪様と比べるなど恐れ多いです。凪様は腕が一流ですので。…ですが、どこか冷めていたのは同じかもしれませんが。」
「ふふっ、ですよね。私、お兄ちゃんだったら、凪さんや横山さんみたいな人がいいです。」