哀 夏 に 、のレビュー一覧

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2020/09/08 23:11
投稿者: 夢雨 さん
ネタバレ
夏のおわり

いつからだろう。
ふたりでアイスを買いに行かなくなったのは。

いつからだろう。
――彼の気持ちが、もう自分の元にはないと思うようになったのは。

燃えるように熱い夏と、ぬくもりを分かち合う冬は、たしかに惹かれあったはずだった。
わかりたかった。わかってほしかった。わかりあいたかった。

でも、いつのまにか、ふり向かない彼のことを、わかりたくなくなっていた。

『もうはやく、夏から抜け出したいよ』
それは、最後までかすかにくすぶりながら残っていた、お互いを想う気持ちだったのかもしれない。

だけど、別れる。
だから、別れる。

恋をするということは、ひとりの人間と向きあうということ。
それを、頬を撫でる風のように静かに、夏の夜空のように寂しく、教えてもらいました。

季節の狭間でひとり切なくなったとき、ふと読み返したい。夏の終わりにそんなお話と出会えて、とても幸せです。

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