溺愛音感

「ホットドック?」

「こんな天気のいい日には、ホットドックにコーラでしょ」


豪華な食事もいいが、たまにはジャンキーなファストフードも食べたい。
広々とした海を眺めながら食べるホットドックは、美味しさ二倍だと思う。


「わたしがマキくんの分、奢ってあげる! 奢ってもらったら、美味しさ三倍だよ?」


いつも美味しいごはんを作ってくれるお礼としては安すぎるかもしれないが、大事なのは気持ちのはず。


「三倍? そんなわけはないだろう……」

「いいから!」


マキくんの腕を引き、ホットドックを売っている移動販売車へ向かう。

中身はポークソーセージにレタスというシンプル具合だが、ソースは色々選べるようだ。
マキくんはサルサソース、わたしはアボカドチーズ。

ドリンクはダイエットじゃない、オーソドックスなコーラ。
Lサイズを一つ頼んでシェアすることにした。

押し問答の末、お金はわたしが払った。

せっかくなので、噴水側ではなく海が見えるベンチに移動し、出来たてのホットドックにかぶりつく。


「んーっ! 美味しいっ!」


ポークソーセージの皮はパリッパリだし、アボカドソースはクリーミー。
ケチャップではなく、トマトソースがいい感じにヘルシーな味わいだ。


「なかなかいけるな……」

「でしょ? 食べやすいし、ハンバーガーより好き」


マキくんは、わたしが半分食べ終える前に完食していた。


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