溺愛音感


*****



「今日は、すっごく楽しかった! ありがとう、マキくん!」


初の水族館を満喫し、帰宅したのは水平線に沈む夕日を見届けてから。
楽しかったからか、疲れは少しも感じなかった。


「いや、俺も子どもの頃以来だったが、いい気分転換になった」

「あと、これ……シャチも買ってくれてありがとう」


抱きかかえるのもひと苦労の大きなシャチのぬいぐるみ。

帰り際、ショップで何か記念になるお手頃価格のお土産を買おうと物色していたら、マキくんが買ってくれたのだ。

嬉しかったけれど、周囲にいた子どもたちの羨望のまなざしがちょっと恥ずかしかった。


「しかし……どう見ても、ハナが餌にされているようにしか見えないな」


笑われても、今日は寛大な気持ちで聞き流せる。

それくらい、楽しい一日だった。


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