カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
一度の帰省にお土産ひとつというルールはどこへ。この量が一回分と言われては、これまでとさして変わらない。

いや、もちろん贈り物は嬉しいけれど、この常識を逸脱した量はなんとかならないものだろうか。それとも彼の界隈ではこれが常識なの?と清良は頭を抱える。

「奥様のお部屋までお運びしましょう」

「あ……いえ……ここで大丈夫で――」

しかし、真鍋は返答を待たず靴を脱いで上がり込み、大きなボックスを持って廊下を突き進んだ。

「二階でよろしいですか?」

質問しながらも足はすでに階段を上り始めている。遠慮することを諦め、清良は「手前の部屋にお願いします!」と先を進む彼に叫んだ。

清良の部屋の前に荷物を置くと、真鍋は「それでは私はこれで」とそそくさと階段を降り始める。

ここまで荷物を運んでもらって、なんのお礼もしないで帰すのは申し訳ない。

「あの……もし、お時間があれば、コーヒーでもいかがですか?」

申し出が意外だったのか、真鍋は驚いた顔で清良のほうを振り返る 。何を考えているのか、まじまじと見つめ――。

「……お言葉に甘えたいところですが、奥様を独占しては総司さんに叱られてしまいますので」 

茶化しながらやんわりと断る。

忙しくてゆっくりする時間もないのだろうと清良は解釈した。これ以上引き留めても迷惑になってしまいそうだ。

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