カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
彼の反応をうかがいながら記事の内容を口にすると、わずかに険しい顔をして目を伏せた。

「それは真実だ」

「……ごめんなさい」

「なぜ清良が謝る?」

「立ち入ったことを聞いてしまったから」

「……妻なのに、立ち入ったも何もあるのか?」

「過去の恋愛を持ち出すのは反則かなって。別にやましい内容でもありませんし」

純粋に女性と交際していただけ。何も悪いことはしていない。週刊誌は面白おかしく騒ぎ立てていたが、法を犯したわけでもない。

自分と出会うまでに総司が何をしていようと、文句をつけられるところではないのだ。

お付き合いをしていた女性がひとりやふたりいようとも、それは当然であって責めることなどできない。

しかし清良は理屈抜きに複雑な顔をしていて、総司はそんな妻を抱き寄せようとする。

「すまない」

「……総司さんこそ、どうして謝るんですか?」

「清良が悲しい顔をしているから」

ご機嫌取りだと気づき、それは甘やかしすぎだろうと困惑する。過去を掘り返して勝手に落ち込むなんて、本来なら怒ってもいいくらいだろうに。

けれど、総司は全く気を害した様子もなく、睦言を囁き続ける。

「それが嫉妬なら……少し嬉しい」

「え?」

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