カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「わざわざお父様の名前を使って圧力もかけたっていうのに、まだのうのうと働いているだなんて。どうせ城ケ崎さんにすがりついて、不倫の疑惑を揉み消してもらったんでしょう?」

「揉み消す……?」

「あんたの会社からは『もう二度と連絡をよこさないでくれ』なんて言われちゃったわ。一体城ケ崎さんからいくら積まれたのかしら」

どうやら解雇の危機を救ってくれたのはやはり総司だったようだ。清良の知らないところで、誤解を解いて便宜を図ってくれたのだろう。

しかし、その行為が結果として鞠花の神経を逆なでしたようだ。目の奥を歪ませながら忌々しげに吐き捨てる。

「不倫なんて手ぬるかったわ。今度はしっかり犯罪の証拠を掴まないと。そうねぇ……あんたの父親に、痴漢の冤罪でもかけてみる?」

「なっ……!」

両親の不祥事まででっち上げようと言うのだろうか。鞠花は冷ややかに口元を歪める。

「結婚した程度で私から逃げられるとでも思ってるの? あんたは一生私のおもちゃよ」

卑劣な言葉が清良の胸に突き刺さる。

鞠花が自分のことをどう思っているかなんて、とうに知っていたはずなのに。いざ口にされると途方もない虚しさが押し寄せてきた。

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