カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
鞠花が総司の腕に絡みつき、自らの胸を押しつける。

胸元が大きく開いたドレスからは、パッドによって水増しされたパンパンの胸と、深い谷間が剥き出しになっている。

初対面であるにも関わらず、気に入った男性にはべったりと懐いてみせるのが、鞠花の特技でもあり狡猾さだ。

お金持ちで、ルックスもそこそこの鞠花に特別扱いされた男性は、大抵鼻の下を伸ばすものだが――。

「いえ、結構。私は自分の妻を迎えに来ただけですので」

ぴしゃりと断って鞠花を突き放す。

困惑する鞠花から視線を外した彼は、廊下の手前に清良の姿を見つけると、その不愛想な表情をふんわりと綻ばせた。

「清良。話は終わったのか? 迎えに来たよ」

甘く優しい声は、鞠花への態度とは全然違う。鞠花も北村も、その変わりように呆然と口を開いた。

清良も違った意味で驚いていた。

今の彼は、高慢に見えたあの夜とは別人に見える。

もしかして、猫被ってる……?

人前に立つときは、そんな声も出すんだなぁなんて、他人事のように思った。

「……清良? どうかしたのか?」

呆然としてしまった清良に、総司は腕を広げておいでと指示する。
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