予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 私にとってこの写真はお守りのような存在で、こっそりと大切に手帳に挟んで肌身離さず持ち歩いている。
 


 会社では、辻さんが調整してくれたおかげで社長の専属秘書から内勤のサポートになった。
 
 つわりのある状態では、長距離の移動はつらいし、会食やお酒の場に同行するのも難しいから本当に助かった。
 
 ついでに辻さんが長江さんや副社長の綾人さんにも協力を仰いでくれたらしく、社長が秘書室に近づくと、誰かがさりげなく、ときにやや強引に社長を足止めして身を隠す時間をかせいでくれた。
 

 一介の秘書の私のために、多忙な綾人さんや長江さんに協力してもらうなんて申し訳ない。

 みんな今のこの状況を面白がっているような気がしなくもないけれど。


 
 そんなわけでこの二週間、私はまったく社長の姿を見ていなかった。
 
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