予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 そう言いながらしゃがみこみうつむく彼の首筋には、うっすらと汗が浮かんでいた。


 それを見て、きゅっと心臓が苦しくなる。

 もう肌寒い季節なのに、こうやって汗がうかぶくらい必死になってかけつけてくれたんだ……。


 
 苦しいくらいの愛おしさがこみあげてきて、どうしていいのかわからなくなる。

 私は無言のまま社長の隣にしゃがむ。

 そしてたくましい肩に額をあずけた。


「香澄?」

 社長はぴくりと肩を震わせた。

 普段自分からは社長に触れることのない私が、急に身を寄せてきて戸惑っているようだ。
 

  らしくないことをしていると、自分でも思う。

  恥ずかしさと緊張で社長の顔を見れない。

  私は父からもらったお守りを握りしめ、うつむいたまま口を開いた。



「……好きです」

 つぶやくと、社長の肩がさらに大きく揺れた。


< 197 / 298 >

この作品をシェア

pagetop