予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 椅子から立ち上がろうとする俺に、綾人は『自分のことはかまわないでいい』というように首をふり、勝手に応接ソファに腰を下ろした。

「兄さんは社長に就任してからかなり多忙だもんな」
「いや、仕事が忙しくて疲れているわけじゃない」

 俺が否定すると、綾人は「それならよかった」と首をかたむけて微笑む。
 
 その面白がるような表情に少しひっかかりを覚えつつ、応接ソファに移動して綾人の向かいに腰を下ろした。

「ひと通り新社長としての挨拶を終えて、取引先の反応はどうだった?」
「おおよそ好感触だ。副社長のときから根回しをしていたのと、二年前のTAPSとの提携が大きく報道されたのが効いているんだろうな」

 以前から、HAMASAKIを継ぐのは俺か綾人のどちらかだと噂されてはいた。
 
 二年前、ECサイトのTAPSとの提携を決断し、それまで頭打ちだった業績を一気に伸ばした。

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