予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 考えることを放棄して、『わざわざ新しいことをしなくても、HAMASAKIの名前が入ったバッグを作れば売れるんだから、今のままでいいじゃないか』と、当然のように意見する社員には、退職を促し違う会社を紹介した。
 
 そこまでできたのは、自分が会社と顧客の利益を一番に考えているという自信があったからだ。

 そう言うと、綾人はため息をついた。


「さすが。兄さんは俺と違っていつも冷静で、仕事に私情をはさんだりしなよな」

 当たり前だと答えようとしたとき、ドアがノックされた。

「お茶をお持ちしました」

 お盆を持って入ってきた辻の姿を見て、わずかに肩を落とす。

 今までなら社長室に飲み物を運んでくれるのは吉木だったのに。

 
 ローテーブルにコーヒーカップを置く辻に話しかける。

「最近吉木を見かけないが、なにかあったのか?」
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