■王とメイドの切ない恋物語■
「皆さん、では、これから部屋に案内いたします。仕事は午後からなので、午前中は自分の荷物の整理や、この城の地図を、覚えたりしてくださいね」

そうだよね、まずこの荷物なんとかしなきゃ。


重いよ。本当に重い。


私は、張り切って、持ってき過ぎてしまった荷物をちらりと見て、ため息を漏らした。

マーヤさんは、１枚の地図を、渡し始めた。


「どこに、どの部屋があるかを覚えることは、メイドの仕事の第１歩ですからね。これが地図です」


地図を渡され、愕然とした。


な、なんて広いお城なの。いや、大体は想像していたけど、これほどまでとは・・・。

私が住んでいた村と、同じくらいの広さがありそうだ。地図がなかったら絶対迷うこと必須だ。


私は、結構ぼんやりしているタイプから、なくさないように気をつけなければ。


私は地図に１通り目を通して、改めてにぎり直し、自分の部屋に向かった。



これから寝泊りする部屋に着くと、私は、周りをゆっくり見渡した。



トーマ様の部屋は、ここにはなさそうだ。ここはメイドの部屋ばかりだもの。



ちょっと残念に思いながら、私は、扉を開いた。


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