■王とメイドの切ない恋物語■
部屋に戻る途中、チチリさんとすれ違った。

「あれー?リリア、その花、どうしたの?」

チチリさんは、私が持っている花束を指差した。


「あ、これ?さっき、お手伝いしたお礼に、エリックにもらったんだ」

チチリさんは、ニヤリと笑った。

「へえー、エリックが、リリアにこの花をね。ちなみに、この花の花言葉ってリリア知ってる?」

花言葉?

なんだろう?

そういえば、この花、見たことないな。

「わからないです。何ですか?」

チチリさんは、やっぱりね という顔をした。

「やっぱり知らないのね。だからリリアも普通なのね。エリックも、かわいそうに」

そう言うと、私の肩をポンポンと叩いて去っていった。


何?何?

この花って何か意味があるの?

ありがとうとか?

なんだろう?

チチリさんのいじわるーっ


何の意味があるか教えてよ。




私は首をかしげながら、廊下を歩いていった。

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