■王とメイドの切ない恋物語■
「トーマ様は、エリザベス姫のこと…どう思ってるんですか?」

部屋に、沈黙が走る。


この間が、辛い。

やっぱり聞いちゃいけなかった?

どうしよう…


「エリザベス姫は、いい子だと思うよ」

トーマ様が、ぽつりと言う。

やっぱり…

その1言で、私の胸に氷の剣がささったみたいだ。


泣きそうになる。



「でも、好きとか、そんなんじゃないよ」

「え?」

私は、顔を上げる。

「妹みたいな感じかな?」

トーマ様は、私を優しく見つめた。




今、私、どんな顔してる?

全身に安堵の気持ちが広がる。


そうだったんだ…妹かぁー

私が放心してると、

「そういえば、リリア、何か用事だったんじゃないか?」


トーマ様、ナイスな転換です。

これ以上、踏み込むのは、やめとこう。

他にも色々聞きたかったが、本来の目的であるランチのことを聞かなくちゃ。
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