■王とメイドの切ない恋物語■
みんなのところに戻る途中、チチリさんが、私たちに気が付いて駆け寄ってきた。


「もーっ 急にいなくなるから、2人して、波にさらわれちゃったかと思ったわよ」

と、私とエリックを、にやけながら見た。


「あはは、ごめん」

「おうっ 心配かけたな。2人で無人島に流されちゃってさ。まいったよ。もう命からがら、脱出してきたところだ。もっといたわってくれ、チチリ姉さん」

と、おどけてチチリさんの肩を叩く。



エリックは、辛いのを隠すためか、わざと冗談言って、はしゃいでるみたいに見えた。

それを見ると、余計、胸が苦しくなる。

「はいはい、そりゃー大変でしたわね。早速で悪いんだけど、あっちでキャンプファイアやるみたいだから、エリック手伝っておいで、ほらほらー」

と、チチリさんが、エリックのわき腹にタックルする。


「ぐほっ 本当に姉さんは人使い荒いな。じゃあ行ってくるわ」

と、私とチチリさんに、手を振って、爽やかに走っていった。

エリック・・・ごめんね
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