■王とメイドの切ない恋物語■
「チチリさーん」

私は、チチリさんの部屋のドアを、勢いよく開けた。


チチリさんが、びっくりして、こっちを見た。

「ちょっと、リリア。突然、開けないでよ。びっくりするじゃない。心臓が止まるかと思ったわ。私が今、着替え中だったらどうするわけ?ノックぐらいしなさいよ」

私は、浮かれすぎて、ノックをすっかり忘れていた。

あぁ、ダメな私。


「うーっ、ごめん、チチリさん」

私が、しょんぼりしていると、

「まぁ、いいわよ。私はナイスボディだしね。見られて困るもんなんてないわ。ホーッホホホホホ」

チチリさんは、口元に手をあてて笑い、お姫様の真似をしている。

チチリさんの思いやりが、胸にしみた。



「ありがと、チチリさん」

私が、チチリさんの優しさに感動していると

「ちょっとリリア、ここ笑うとこなのにーっ。真面目に返されたら、こっちが恥ずかしくなるわ。もうっ」

「すんません」



「まぁいいわ、で、何の用?」

私は、赤くなりながら

「実は…」

トーマ様との、一部始終を話した。


< 292 / 396 >

この作品をシェア

pagetop