■王とメイドの切ない恋物語■
…。

もう1回してほしい…な。

また見つめたら、してくれるかな?

あー、私、何考えてるんだろ。

ははは。

やっぱりキスって、手をつなぐより、もっと深くトーマ様を感じる気がする。

もっと、もっとトーマ様を感じたいよ。

大好きなんだもん。

私はトーマ様を見上げた。



トーマ様は、少し笑い、




今度はもっと深く、何回も唇を重ねてくれた。




「リリア、本当に可愛いな。そんな目で見つめられると、止まらなくなりそうだよ」

トーマ様が、私の頭をポンポンと叩き、笑った。




だって、だってしてほしかったんだもん。

って、私、そんな目をしてトーマ様の顔見てたんだ。

なんか、めちゃくちゃ恥ずかしいよーっ。

そう言えば、私って顔に出やすいタイプだったーっ!

恥ずかしすぎる。

私はトーマ様に背を向け、真っ赤になった。




「また、そうやって照れるところも、可愛いな」

ぐっ

トーマ様には、かなわないよ、本当に。





「とっ トーマ様、散歩行きましょう。散歩、散歩」

私は照れを誤魔化すために、立ち上がった。

「はいはい」

トーマ様も、笑いながら立ち上がった。




私は勇気を出して、自分から手をつないでみた。

トーマ様は、少し驚いた顔をしたけど、すごくうれしそうだった。





そして、周りが暗くなるまで、2人で仲良く散歩した。


私とトーマ様の、初デートは、こうして幕を閉じた。


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