■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様は、手を止め、ラノス様を見た。

「この子は、まだ1年目のメイドだから、ラノスには、もっとベテランを付けよう」




私は、ほっとした。

他の、男の人の専属メイドだなんて、あまり気が進まない。

だってねえ、やっぱりトーマ様も嫌だよね?

たぶん。

そう思っていたら、

「この子がいいんだ。この子じゃ、トーマは何か都合が悪いのか?」

そう言われ、トーマ様は口ごもった。

目を閉じ少し考えた後、小さな声で、

「いや」

と呟いた。あまり拒むと、関係がばれると思ったからだろう。




「名前は?」

ラノス様が、振り向いた。

「リっ リリアです」

「よろしくな、リリア」

ラノス様は、笑顔で、握手してきた。

はいー?

なんでそうなるわけ?

どうしよう。

トーマ様は、少し眉をしかめていた。

今日は他にやることがあるので、ラノス様のお世話は明日からすることになった。




その後、トーマ様の部屋を出て、ジュリアと2人で、ラノス様を部屋に送り届けると、マーヤさんのもとへ向かった。



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