■王とメイドの切ない恋物語■
…。

はっ

私、寝ちゃってた?

いつの間にか、寝てたみたいだ。




起き上がろうと、ベッドに手をつく。

ん?

人の気配を感じて、ふと前を見ると、トーマ様も、私の隣に横になっていた。



「リリア、本当にかわいいな」

トーマ様が、微笑む。

ぎゃーーーー

「ごっ ごめんなさい。いつの間にか寝ちゃってた。ごめんね、トーマ様のベッドなのに」

私が慌てて起き上がろうとすると、トーマ様が優しく私の手を取り、もう1度、私をベッドに横にした。

「いいよ、リリアなら、いつでも好きに使って良いから」

私は、照れながら返事した。

「ありがと」




手をつないだまま、ベッドに横になる。

この状態、すごく恥ずかしいよ。

ドキドキする。

だんだん目も覚めてきて、緊張してきた。

ちらっとトーマ様を見ると、優しい顔でこっちを見ている。




「私、どのくらい眠ってた?」

トーマ様は少し考えて、

「15分くらいかな?リリアが、トーマ様、大好きって寝言言ってるし、まいったよ」

トーマ様が笑った。

「ええーっ すごく恥ずかしいよ。穴があったら入りたい。出てきたくないーっ」

私が、恥ずかしさのあまり、バタバタ転がってると

「あはは、冗談だよ」

トーマ様は、向こうむいて、笑いをこらえている。

「もうーっ」

私は、トーマ様の背中をポカポカ叩く。

もう、トーマ様ったらーっ。




しばらく、じゃれていると、急にトーマ様が振り向き、私を押し倒した状態になった。

「リリア、ベッドで無防備で寝てるなんて反則だぞ。俺だって男なんだし」

トーマ様の真剣な目に、ドキリとする。

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