■王とメイドの切ない恋物語■
「ラノス、リリアの件だが、私だけで決めるわけにいかないんだ。メイドの長、マーヤに相談してから返事するよ」

「わかった。いい返事待ってるよ」

!!


トーマ様…。

それって…。

私はもう、いらないってことですか?

お城から、いなくなってもいいってこと?

マーヤさんと、何を相談するの?


私の代わりのメイドを雇うとか、そんな話?

ひょっとしてジュリアがいるから、私は必要じゃなくなった?

嫌だよ、嫌だよトーマ様。

私は、トーマ様の近くにいたいの。

トーマ様と離れたくない。

ずっと一緒にいるって決めたのに。

1週間前まで、あんなにラブラブだったのに。

涙がすぐそこまで、押し寄せてくる。

トーマ様に見放されたことが、辛くて、悲しくて、その場に泣き崩れそうになる。


私はうつむき、唇を噛みしめ、ぐっと涙をこらえた。

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