■王とメイドの切ない恋物語■
その後もパーティーは、和やかに過ぎていった。

ちょっと冷たい感じだった、エリザベス姫もニコニコしながらトーマ様に話しかけている。


やっぱりさっきのは気のせいだったのだろうか。


私は、エリザベス姫とトーマ様が談笑しているのを少し見つめ、仕事に戻っていった。

そしてパーティーも終わり、ソフィア王と、エリザベス姫を、門のところまで見送った。


エリザベス姫は、最後にトーマ様に握手を求めて去っていった。

私は、近くにいた、チチリさんに、小さい声で話しかけた。


「トーマ様と、エリザベス姫ってお似合いですね」
チチリさんは首を振った。

「たぶん今日も空振りね。トーマ様、目が笑っていなかったもの。たぶん社交辞令で、姫の相手をしていただけだと思うわ」

「そうなんですか?いい感じに見えたのですが」

「うん、そうなの。いつもあんな感じで、後で姫の方から、お誘いがあっても断っちゃうのよ。お城に来た分は追い返したりはしないけれど、自分からデートに行くってことはないわね。もちろん、誘うこともないし」


私は、気になっているところを迷いながらも聞いてみた。
「それは、何故なんでしょうね?」

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