■王とメイドの切ない恋物語■

勇気

私は、いつものように、トーマ様の部屋に、お見舞いに行った。

あの後、マーヤさんとドクターを呼び、トーマ様の意識が、回復したことを伝えた。

マーヤさんは、涙を流して喜んでいた。


トーマ様の意識が戻った知らせは、すぐにお城中に、広まり、お城全体が安堵に包まれた。



私は、トーマ様の看病係になり、毎日トーマ様の部屋に通っている。


「看病がんばってね」

「王をよろしく頼む」

と、色んな人から励まされ、改めて、トーマ様が、皆に心から慕われていることが、わかった。




あれから3日。


だいぶ、よくはなってきているが、まだ動ける状態じゃない。

今、動けば、傷口が開いてしまうだろう。




トーマ様の部屋の前で、忘れ物に気が付く。

あ、果物、持ってくるんだった。




私は厨房に向かった。

途中の廊下で知らない男の人と、すれ違い不審に思い立ち止まった。

あんな人いたっけ?

私は、少し通り過ぎた所で、振り返ってみた。



あっ!

その瞬間、男は、廊下に飾ってある、高価な装飾品を袋にしまった。

装飾品等を出したり、しまったりするのはメイドの仕事。

怪しすぎる。


「何してるんですか?」


私が声をかけると、男は笑顔で振り向いた。

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