■王とメイドの切ない恋物語■
次の部屋に、男が行こうとした時、遠くの方で、



「きゃーっ!!!」

悲鳴が聞こえた。

見るとジュリアだった。


「ちっ 見つかったか」

男は、私の首を腕で押さえ、大広間の方へ逃げた。




ジュリアの悲鳴で、人が集まってきた。

「リリア!」

「リリアちゃん!」

後から来た人も、私が人質になってることに気が付き、青ざめている。

「リリアちゃんが、人質になってるわ!」

「なにっ!?」

色々な所で、悲鳴にも似た叫びが聞こえてくる。

私は、怖くて、足に力が入らない。


「ほら!フラフラするんじゃねぇ!ちゃんと立て!」

男がイライラして私を見た。

このままだと私、ころされ…


そんな事が頭をよぎった瞬間、

「リリアを放せ」

静かな、それでいて、怒りに満ちた声が聞こえてきた。

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