■王とメイドの切ない恋物語■
日は変わって、今は、朝食の時間である。

「おはようございます。トーマ様」

トーマ様は、毎朝7時から朝食を召し上がっている。


今日のメニューは、焼き立てパン3種、クレソンのキッシュ、ポタージュ・サン・シェルマン、魚介のブーシェ、イチゴのモスコビーである。


と、言っても、庶民の私には、さっぱりわからい。


うちでの朝食は、フランスパンと搾りたてミルクだったなぁ。懐かしい。

今は、トーマ様ほどの料理ではないけど、パンとスープと卵、サラダくらいは食べさせてもらっている。

私にしては、最高の贅沢だ。実家の妹達にも分けてあげたいよ。


朝食も係りが決まっていて、今日は、最後のコーヒーを持っていく係りである。

係りじゃない人は、裏方にまわるか、違う用事をしている。

私は、食後まで用がないので、邪魔にならないところに立って待っていた。
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