■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様は、もうすぐ食事を終えられるようだ。


私は、そっとコーヒーの準備をした。

「トーマ様、コーヒーです」

「ありがとう」

ありがとう、たった一言。


それだけでも、十分うれしかった。

私は、お辞儀をして、後ろに下がった。

トーマ様は食事を完全に終えられ、席を立った。

立つと背の高いのがよくわかる。

お付の人より10センチは高いと思う。

遠くから見ても、本当にかっこいいな。

そう思ってしまうのは、私が恋しているから?


部屋を出るとき、一瞬目があった気がした。


きっと気のせいだろう。


私は、仕事に戻った。
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