■王とメイドの切ない恋物語■
私は手紙を受け取った


「あ、まーくんからね」

私は、うれしそうに手紙の封を開けた。


まーくんは、小さい頃に、

うちの前で泣いてるのを私が見つけ、

その時から仲良くなった男の子である。



************


どこだろ?泣き声が聞こえる。

13年前、5歳の私は、泣き声のする方向に、走っていった。泣き声は、家の外から聞こえてくる。

私は、ドアをあけ、表に出た。

そこには、泣きじゃくる可愛い男の子がいた。

年は同じくらいだろうか?

私は、声をかけた。

「どうしたの?どうして泣いているの?」

その男の子は、涙をいっぱい浮かべた目で、こっちを見た。

男の子は何か言いたそうだが、泣いているせいか、思うように話せないみたいだった。


私は、そっとその男の子に近づいた。

「今日は、お父さんもお母さんも帰りが遅いの。だから、リリアと一緒に遊ぶ?」

男の子は、涙を拭いて、うれしそうに、頷いた。

「名前教えて?私はリリアだよ」

男の子は、小さい声で、ぽそっと呟いた。

「…まー」

私は、にこっと笑って、手を差し出した。

「まーくんね、よろしくね」


私とまーくんは手をつなぎ、丘の上の広場に遊びに行った。
< 61 / 396 >

この作品をシェア

pagetop