■王とメイドの切ない恋物語■
ひ、広い・・・。一体、どこをどう進めばいいの?




果てしなく続く廊下。きらびやかな装飾品。すべて、私には縁のなかったものだ。


私は冒険しているかのような、ワクワクした気持ちで、受付の場所に向かった。

部屋を見渡すと、立派な暖炉や、壁にかかった素敵な絵。アンティークな感じの小物などがあり、私は、思わずうれしくなった。


すごい。こんな素敵な部屋、見たことない。こんな所で働けるなんて、私は本当に幸せものだよ。

トーマ様も、きっと、ここの人だろうから、また会えるかもしれないしね。



他にも部屋のあちこちで、何人かソワソワした表情の子が立っていた。

たぶんこの子たちも、メイドになるために、集められたといったところではないだろうか。

みんな私のようなボロボロの服でなく、きちんとしたワンピースを着ている。


やっぱりお城で働くのは、そこそこいい家庭のお嬢さんが選ばれるようだ。


なんで、私なんかが選ばれたのだろう?いくら考えても、わからない。


でも、せっかく働けるチャンスを頂いたのだから、一生懸命がんばるぞ。私だって、きっとやればできるよ。


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