小悪魔王子に見つかりました

「あれ……姫茉?」

聞き覚えのあるその声に体がビクンっと反応した。

「わー!やっぱり姫茉じゃーん!」

「マジだ!え、まさかこんなところで会えるとは!」

続けて聞こえた別の声に、ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。

さっきまでふわふわと温かった胸を、絞られるような痛みが襲う。

嘘でしょ。

……なんで?

こんなところで。

恐る恐る顔を上げれば、3人組の女の子たちが私のことを見ていた。

中学の頃に比べてさらに派手になった彼女たち。

あの頃よりメイクや髪型は若干変わっているけど、すぐにわかった。

中学の頃、私の陰口を言っていた子たちだ。

「えー!なんでこんなところにいるの?」

「てか待って1人?!」

「うわ、まさかひとりで水族館?」

「ハハっ、いくらうちらとクラス離れてからぼっち極めてた姫茉でもひとりで水族館はないでしょ。虚しすぎるって!」

バカにしたような笑い声が響く。
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