小悪魔王子に見つかりました



「……そうだったんだ……大変だったんだね、浅海さん。話してくれて本当にありがとう」

鍵のかかった屋上のドアの階段の前で、寧衣くんとふたりきり。

私が全てを話し終えた時、隣に座る彼が優しくそう言ってくれた。

「いや、私にも陰口を言われる原因があったので……」

「絶対そんなことないからっ。今日まで浅海さんと過ごしてきて俺ほんと嫌な気持ちしたことなんてひとつもないし、すごく楽しかった。そんなこと言われる原因、浅海さんにはないよ。女の子たちの嫉妬だと思うけどね。浅海さん、かわいいから」

「いやいやいや……」

たった数日話した程度で、寧衣くんに私のなにがわかるって言うんだ。

優しさでそう言ってくれてるのはわかっているけれど。

これからどんどん時間を共有して、私のことを今以上に知った寧衣くんは、私に幻滅するかも知れない。

そんな未来が来る可能性だってある。

人の気持ちはいつどう変わるかわかんないからこそ、怖いんだ。
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