イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
すると専務の顔が徐々に緩み、笑いを堪える様に手で口を押さえた。

「どうぞ、笑ってください」

専務からしたら明らかに彼のルックスは下だし、笑っても許される。
だけど私がこの人とお見合いすることを笑われていると思うと、悔しいというか情けないというか……とにかく面白くない。

「いや、ごめん。笑うつもりはなかったのだが……俺と同い年だと思って」

「え? そうなんですか?」

「ああ、しかも誕生月もいっしょの7月だ。釣書は見たのか?」

「いえ、もうどうでもよくなってきました。どう足掻いても私は彼とお見合いしなきゃならないのですから」

そして沈黙がながれる。
なに? この間は。
もしかして私とお似合いだって思っている?
だから何も言わないの?
秘書の仕事も大変だというのに不本意なお見合い。
本当に最悪だ。

「なあ、鴨居」

「なんですか?」

「もしお前に結婚を前提に付き合っている男がいたらそのお見合い回避できるのか?」

何をいうかと思えば……。

「そうですね。でもそんな人いませんし回避などできませんけどね」

専務相手にやけくそな私。

「じゃあ、俺がお前の男になってもいいよ」

「……え?」
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